日本は災害大国だと言われています。雷、噴火、地震、台風など災害の種類は様々です。日本に住んでいる以上は安全な都道府県というのは存在しないですが、比較的安全な県はどこなのかを検証してみました。ゲリラ雷雨発生回数、雷日数、雪日数、地震回数、台風上陸数、活火山の数の6つの観点から一番安全な都道府県を見ていきます。
ゲリラ豪雨発生回数
近年ゲリラ豪雨が増えていると言われています。ついさっきまで天気が良かったのに突然激しい雨に見舞われるということも。そんなゲリラ豪雨が少ない地域はどこなのでしょうか?
気象庁が公開している7月~9月におけるゲリラ豪雨の過去5年間の平均回数を参照してランキング付けしました。ゲリラ豪雨の約半分が夏場に起きると言われているため、年間で計算する場合はこれらの値を2倍するとおおよその年間のゲリラ豪雨発生回数になります。
参考記事
2023年のゲリラ雷雨は全国で9.3万回以上発生、昨年比約20%増 | Weathernews Inc.
1位 北海道 4210回
2位 沖縄県 4010回
3位 鹿児島県 2280回
4位 福島県 2270回
5位 岐阜県 2270回
6位 新潟県 1970回
7位 長野県 1810回
8位 広島県 1500回
9位 兵庫県 1440回
10位 宮崎県 1400回
11位 静岡県 1380回
12位 岩手県 1310回
12位 栃木県 1310回
14位 三重県 1300回
15位 岡山県 1210回
16位 熊本県 1200回
17位 愛知県 1190回
18位 群馬県 1180回
19位 秋田県 1150回
20位 長崎県 1110回
21位 高知県 1090回
22位 島根県 1070回
23位 山形県 1040回
23位 山口県 1040回
25位 福岡県 960回
26位 京都府 950回
27位 愛媛県 910回
28位 東京都 870回
29位 和歌山県 850回
30位 大分県 840回
30位 奈良県 840回
32位 宮城県 820回
32位 茨城県 820回
34位 富山県 780回
35位 千葉県 730回
35位 滋賀県 730回
37位 石川県 720回
38位 青森県 700回
39位 福井県 680回
40位 山梨県 620回
41位 徳島県 610回
42位 鳥取県 600回
43位 埼玉県 550回
44位 佐賀県 390回
45位 神奈川県 370回
45位 大阪府 370回
47位 香川県 340回
1位は北海道でした。とはいえ北海道は面積が大きく、北海道のどこで発生しようが同じ北海道でのゲリラ豪雨とカウントされるため、必然的に多くはなります。全体で見ても、面積が大きい県が上位に多く、面積が小さい県が下位に多いです。
しかしながら台風の上陸が多めな関西以西で多い傾向があったり、夏場のゲリラ豪雨で有名な栃木県、群馬県がランクインしていたりと、面積のわりに多い県などの傾向は見られます。
雷日数
豪雨といったら雷も付きものです。直接撃たれることはないにせよ(もちろんゼロではないです)、落雷で停電があったり、単純に雷が鳴っていると怖いのもありますよね。
そんな雷日数が少ない都道府県はどこなのでしょうか?
下記記事を参考にしました。1991年~2020年までの平年値です。
都道府県別年間雷日数 – とどラン (todo-ran.com)
1位 石川県 45.1日
2位 福井県 37.4日
3位 新潟県 34.7日
4位 秋田県 34.3日
5位 富山県 33.6日
6位 鳥取県 28.0日
7位 鹿児島県 27.4日
8位 島根県 26.6日
8位 熊本県 26.6日
10位 栃木県 26.5日
11位 福岡県 25.5日
12位 宮崎県 23.5日
13位 奈良県 23.1日
13位 佐賀県 23.1日
15位 群馬県 21.8日
16位 岐阜県 21.7日
17位 長崎県 21.6日
18位 沖縄県 20.4日
19位 大分県 20.3日
20位 埼玉県 20.2日
21位 京都府 19.6日
22位 滋賀県 18.9日
23位 静岡県 18.1日
24位 愛知県 18.0日
25位 茨城県 17.9日
25位 長野県 17.9日
27日 大阪府 17.3日
28位 高知県 16.2日
29位 山口県 16.0日
30位 山形県 15.9日
30位 徳島県 15.9日
32位 青森県 15.2日
33位 広島県 15.1日
34位 山梨県 14.8日
35位 東京都 14.5日
36位 三重県 14.3日
37位 兵庫県 14.0日
38位 神奈川県 13.8日
39位 岩手県 13.6日
40位 香川県 13.4日
40位 愛媛県 13.4日
42位 千葉県 13.3日
43位 和歌山県 12.7日
44位 福島県 12.6日
44位 岡山県 12.6日
46位 宮城県 9.8日
47位 北海道 9.2日
1位は石川県でした。上位には日本海側の県が並びますが、これは冬場の雷である冬季雷が多いためです。上位の中で日本海側ではない県は、先程のゲリラ豪雨が多い都道府県が並びます。
台風上陸数
続いては台風上陸数です。毎年夏になると日本付近で進路を変えて接近して来る台風ですが、どの都道府県が最も上陸が多いのでしょうか?
下記記事を参考にしました。こちらは2022年9月20日現在の1951年以降の台風上陸数です。
台風上陸回数(都道府県データランキング) (uub.jp)
1位 鹿児島県 43回
2位 高知県 26回
3位 和歌山県 24回
4位 静岡県 22回
5位 長崎県 18回
6位 宮崎県 14回
7位 愛知県 12回
8位 千葉県 9回
9位 熊本県 8位
10位 徳島県 7位
11位 北海道 6回
12位 神奈川県 5回
13位 三重県 4回
14位 広島県 3回
14位 大分県 3回
16位 青森県 2回
16位 山口県 2回
16位 愛媛県 2回
19位 岩手県 1回
19位 宮城県 1回
19位 秋田県 1回
19位 福井県 1回
19位 兵庫県 1回
19位 福岡県 1回
※その他は0回
鹿児島県が断トツで1位です。全体的に太平洋に面した県が多くなっています。
長崎県、熊本県は西から来た台風が真っ先に上陸してくるからでしょう。
ところで真っ先に台風が接近しているイメージがある沖縄県はどこにいったのでしょうか?
理由は台風上陸の定義に戻ると分かります。「台風の中心部分が本州・北海道・四国・九州のいずれかの海岸に到達したことを示す言葉」が台風上陸とされています。つまり、沖縄県はいずれの島にも当たらないため、台風上陸という定義から外れます。同様に海岸を持たない内陸県8つも上陸という概念がないことになります。
台風上陸に関しては定義や都道府県の立地に左右される要素が強く、実情とは少し離れているのかもしれません。
雪日数
続いては雪日数です。豪雪による被害が毎年報道されますが、降雪日数が多いと交通機関に影響がある日が多くなったりと日常生活に不便が生じると思います。
気象庁が発表したデータの平年値の1991年から2020年までの平均です。
下記記事を参考にしました。
都道府県別年間雪日数 – とどラン (todo-ran.com)
1位 北海道 124.4日
2位 青森県 119.5日
3位 岩手県 111.0日
4位 秋田県 108.9日
5位 山形県 105.7日
6位 福島県 87.0日
7位 長野県 85.6日
8位 石川県 73.9日
9位 富山県 71.8日
10位 新潟県 69.9日
11位 福井県 69.2日
12位 宮城県 65.6日
13位 鳥取県 54.7日
14位 島根県 50.5日
15位 滋賀県 49.3日
16位 京都府 44.5日
17位 山口県 41.3日
18位 奈良県 33.9日
19位 岐阜県 33.4日
20位 兵庫県 26.9日
21位 三重県 26.5日
22位 群馬県 26.1日
23位 和歌山県 25.4日
24位 岡山県 24.4日
25位 栃木県 23.6日
26位 佐賀県 22.2日
27位 茨城県 21.9日
28位 広島県 21.8日
29位 山梨県 19.4日
30位 徳島県 18.8日
31位 長崎県 18.7日
32位 愛媛県 18.3日
33位 埼玉県 17.7日
33位 千葉県 17.7日
33位 神奈川県 17.7日
33位 熊本県 17.7日
37位 大分県 17.3日
38位 福岡県 15.6日
39位 愛知県 14.7日
40位 大阪府 13.9日
41位 香川県 12.8日
42位 高知県 10.3日
43位 東京都 8.5日
44位 鹿児島県 4.9日
45位 静岡県 4.1日
46位 宮崎県 3.6日
47位 沖縄県 0.0日
日本海側は雪日数が多く、その中でも北に行くほど雪日数も多くなるという傾向がありますね。
活火山の数
今まで雨や雷といった天候を比較してきましたが、次は火山です。
日本はちょうど海洋プレートが沈み込む場所に位置しており、世界的に見ても火山が多い地域です。国内には111の活火山があり、世界の火山の約7%にあたります。
そんな活火山の数を都道府県ごとにランキング付けしてみました。
1位 東京都 21
2位 北海道 20
3位 鹿児島県 11
4位 長野県 10
5位 秋田県 6
5位 福島県 6
5位 群馬県 6
8位 岩手県 5
8位 山形県 5
8位 岐阜県 5
11位 青森県 4
11位 新潟県 4
13位 宮城県 3
13位 栃木県 3
13位 静岡県 3
13位 大分県 3
17位 神奈川県 2
17位 長崎県 2
17位 熊本県 2
17位 沖縄県 2
21位 富山県 1
21位 石川県 1
21位 福井県 1
21位 山梨県 1
21位 島根県 1
21位 山口県 1
21位 宮崎県 1
※その他は0 (28位)
1位は東京都でした。東京都は小笠原諸島も含まれる分多くなるのでしょう。
2位の北海道も面積の大きさが、3位の鹿児島県も奄美諸島が関係しているのでしょうか(鹿児島県に関しては本土の中央にも頻繁に噴火する活火山である桜島があるわけですが)。
全体としては東北の中央に分断するように一直線に活火山が並び、九州も中央に活火山が一直線に並んでいるイメージです。そして中央アルプスにも大量の活火山が分布しています。一方で、九州を除く西日本には驚くほどに活火山がありません。
分布図で見て見るとよく分かります↓
令和元年版 防災白書|附属資料4 我が国の活火山の分布 : 防災情報のページ – 内閣府 (bousai.go.jp)
地震の回数
続いては地震です。海洋プレートがちょうど沈み込む場所に位置している日本は地震も多いです。
日本に住んでる以上、絶対安全な場所は存在しませんが、地震が比較的少ない地域を調べてみます。
地震の性質上、特定の地域で大きな地震が起きると度重なる余震によってそこの地域だけが飛び抜けて多くなってしまいます。計算方法に悩みましたが、今回は下記2つの条件で調べます。
・2020年1月1日~2023年12月31日の期間
・その都道府県のどこかで震度4以上を観測
直近でなるべく局地的な地震の影響を受けない期間で、震度4以上というやや大きめの揺れに限定してランキング付けしてみました。
1位 茨城県 34回
2位 福島県 30回
3位 宮城県 26回
4位 鹿児島県 24回
5位 栃木県 22回
6位 岩手県 21回
7位 石川県 19回
8位 千葉県 18回
9位 北海道 17回
9位 青森県 17回
11位 東京都 14回
12位 群馬県 13回
13位 埼玉県 11回
14位 神奈川県 6回
14位 山梨県 6回
16位 秋田県 5回
16位 新潟県 5回
16位 長野県 5回
16位 岐阜県 5回
16位 和歌山県 5回
16位 熊本県 5回
22位 山形県 4回
22位 静岡県 4回
22位 広島県 4回
22位 愛媛県 4回
22位 宮崎県 4回
27位 富山県 3回
27位 徳島県 3回
27位 高知県 3回
27位 高知県 3回
27位 大分県 3回
27位 沖縄県 3回
32位 福井県 2回
32位 愛知県 2回
32位 京都府 2回
32位 山口県 2回
36位 三重県 1回
36位 兵庫県 1回
36位 香川県 1回
36位 福岡県 1回
36位 佐賀県 1回
41位 滋賀県 0回
41位 奈良県 0回
41位 大阪府 0回
41位 鳥取県 0回
41位 島根県 0回
41位 岡山県 0回
41位 長崎県 0回
東日本の太平洋側が上位に大量ランクインです。海のプレートの方で起きる海洋性地震が度々起きているからですね。石川県に関しては集計した期間は2024年に発生した能登半島地震の前ですが、能登半島では以前からも度々地震が発生していたようです。鹿児島県がここでも奄美諸島の影響もあってか上位に入りました。ただ、奄美諸島に限らず宮崎県の日向灘では何度か大きな地震が起きていたりするため、宮崎や熊本も含めて九州の南部は地震多発地帯なのかもしれませんね。
逆に全体的に地震が少ないのは中国・四国・近畿地方という結果でした。
日本一安全な都道府県は香川県?
ここまで様々なランキングを見てきました。どのランキングも上位が圧倒的な回数や日数で、下位は僅差で順位がついているというものばかりでした。どの災害も日本全体で満遍なくというよりは、ある特定の地域で多く起きやすい傾向があるようです。
面積の大きさなどに左右される要素も多かったですが、最後にこれらの全てのランキングの平均順位を出してやや強引に比較的安全な県ランキングを作りたいと思います(笑)
※台風の上陸数は実情とは異なる印象があったため、除外します。
1位 香川県 38.4位
2位 大阪府 36.2位
3位 神奈川県 31.6位
4位 徳島県 31.2位
5位 岡山県 30.4位
6位 愛媛県 29.8位
7位 佐賀県 29.4位
8位 千葉県 29.2位
8位 高知県 29.2位
10位 滋賀県 28.2位
11位 愛知県 28.0位
12位 和歌山県 27.8位
13位 福岡県 27.6位
13位 山梨県 27.6位
15位 埼玉県 27.4位
16位 三重県 27.0位
17位 兵庫県 26.0位
17位 奈良県 26.0位
19位 長崎県 25.2位
19位 大分県 25.2位
21位 京都府 24.6位
22位 山口県 24.4位
23位 広島県 23.8位
24位 東京都 23.6位
25位 静岡県 22.8位
26位 茨城県 22.6位
27位 宮崎県 22.2位
27位 沖縄県 22.2位
29位 宮城県 21.2位
29位 島根県 21.2位
31位 福井県 21.0位
32位 鳥取県 20.4位
33位 富山県 19.2位
34位 青森県 18.4位
35位 熊本県 18.0位
36位 山形県 17.6位
37位 石川県 14.8位
38位 群馬県 14.4位
39位 岩手県 13.6位
40位 栃木県 13.0位
41位 岐阜県 12.8位
42位 福島県 12.2位
42位 鹿児島県 12.2位
44位 北海道 12.0位
45位 長野県 11.8位
46位 秋田県 9.6位
47位 新潟県 9.2位
日本一安全な都道府県は香川県という結果になりました!
瀬戸内海に面している県が上位に多いです。人口が多い大都市は自然災害に弱く危険というイメージを持たれがちですが、人口の多い大阪や福岡、関東1都3県も比較的上位にいることが分かります。しかし人口が集中している都市で大災害が起きてしまうと、一斉に被害を受けて都市機能が麻痺してしまう危険性があるため、やはり分散させることは大事ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。これらのランキングはその都道府県に属する離島や面積の大きさに左右される点も多かったですが、だいたいの指標としての参考にしていただければと思います。繰り返しになりますが、日本に住んでる以上は絶対に安全な場所というものは存在しないため、それぞれの地域で起きやすい災害を理解して普段から備えておくことが大切ですね。
少し無理矢理ではありますが、瀬戸内海あたりが一番安全なエリアと結論付けてこの記事を締めくくりたいと思います。